新築の家づくりを考える中で、「和室はいる?いらない?」という問題が出てきます。
「開放的な広いLDKは絶対に譲れない」
「でも、日本人なら畳でゴロゴロできる安らぎも捨てがたい…」
そう感じている人もいるのではないでしょうか。
子育てのあり方や来客へのおもてなしなど、単純に見えて難しい問題が和室の有無です。
「なんとなく不要だと思って無くしたら、子育てで不便を感じて大後悔」
「憧れでつくったはいいものの、結局は物置部屋になり、LDKを狭くしたことを悔やんでいる」
そんな後悔の声を耳にすることも。
そこでこの記事では、そんな後悔を未然に防ぐため、「和室なし」で困る具体的なシーンから、「和室あり」のデメリットと対策、さらには後悔しないためのポイントまで解説します。
ぜひ最後まで参考にしてみてくださいね。
本文に入る前に、これから家づくりを考えている人や、現在進行形でハウスメーカーを探し始めている人に、後悔しない家づくりのための最も重要な情報をお伝えします。
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家づくりで一番大切なこと、それはなんだと思いますか?
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現代の住まいで「和室いる・いらない」が生まれた背景

新築の家づくりにおいて、間取り決めの終盤まで多くの家族を悩ませるテーマが「和室を設けるか、設けないか」という問題です。
ここではなぜ和室がいるのかいらないのかという論争が発展してきたか、その背景をみていきましょう。
ライフスタイルの洋風化と住宅事情の変化
「和室はいらない」と考える人々が増加した最大の要因は、私たちの生活様式が根本的に変化したことにあります。
- 床座から椅子座へ・布団からベッドへ:戦後、ダイニングテーブルと椅子で食事をし、ソファでくつろぎ、ベッドで就寝するという欧米のライフスタイルが急速に普及しました。畳の上で座ったり寝転んだりする「床座」の文化が日常生活から切り離され、フローリングと親和性の高い暮らしがスタンダードとなったのです。これにより、「畳の部屋がなくても特に不便を感じない」という感覚が自然に生みだされていきました。
- 「客間」文化の衰退とプライベート空間の重視:かつて和室が担っていた最も重要な役割の一つが「客間」でした。しかし、核家族化が進み、都市部への人口集中によって住宅がコンパクトになる中で、使用頻度の低い客間のために貴重なスペースを割くことに疑問を持つ人が増えました。また、来客をもてなす場も、自宅から地域のコミュニティスペースや飲食店、ホテルへと移行し、「家=家族がくつろぐプライベートな空間」という意識が強まったことも、客間の必要性を低下させる一因となりました。
- 効率性とメンテナンスへの意識の高まり:共働き世帯が主流となる現代において、住まいには「掃除のしやすさ」や「メンテナンスの容易さ」が強く求められます。その点、畳はフローリングに比べてホコリが溜まりやすく、カビやダニへの対策、数年ごとの裏返しや表替えといった手間とコストがかかります。この維持管理の負担が、合理性や効率性を重視する現代の価値観と相容れないと感じられ、「いらない」という判断につながるケースも少なくありません。
データで見る和室の現状
実際のデータから和室の現状を見ていきましょう。
農林水産省の調査によれば、畳表の供給量(国内生産量+輸入量)は1996年の3,831万枚から2023年には745万枚へと約80%も激減しており、和室の採用率が大きく減少していることがわかります。
【後悔事例】「和室なし」で後悔した具体的な理由10選

ここでは、和室なしの家を選んで後悔したと感じた具体的な10のシーンを、実際に住んでいる方々のリアルな声や具体的なエピソードを交えながら見ていきましょう。
子育て・育児の安全性と利便性の欠如
子育て世帯にとって、和室がないことは不便さに加え、日々の安全管理におけるストレス源となり得ます。
- 「転倒」のリスクと精神的な疲弊:赤ちゃんがつかまり立ちを始め、よちよち歩き出す時期。この時期の親は常に「転んで頭を打たないか」という不安と隣り合わせです。フローリングは硬く、転倒時の衝撃がダイレクトに伝わります。実際に「目を離した一瞬で転んでしまい、ゴンッという鈍い音に血の気が引いた」「常にクッションやマットで防護策を講じる必要があり、気が休まらない」といった声は後を絶ちません。適度な弾力性を持つ畳は、木質フローリングの約10倍もの衝撃吸収性があるというデータもあり、この「万が一の安心感」は何物にも代えがたい価値があります。
- 日々のケアにおける「ちょっとした不便」の蓄積:おむつ替え、着替え、お昼寝、授乳。赤ちゃんのお世話は1日に何度も繰り返されます。和室がない場合、これらの行為をフローリングの上で行うことになりますが、「冬場は床が冷たくて、赤ちゃんが可哀想」「毎回プレイマットを敷くのが地味に面倒」「リビングにおむつ交換セットを常設すると生活感が出てしまう」といった細かな不便が積み重なっていきます。畳の上なら、そのまま寝かせても冷たくなく、汚れてもサッと拭ける素材を選ぶことも可能です。
来客対応のプライバシーと場所の確保
親しい友人ならまだしも、義理の両親や遠方の親戚、子どもの家庭訪問などで人が訪れる際、和室の不在は「おもてなしの質」に直結します。
- 生活感を隠せない「丸見えリビング」の気まずさ:急な来客時に、散らかったリビングや調理中のキッチンを見られて焦った経験はありませんか。和室があれば、とりあえずお客様をそちらに通し、落ち着いてお茶を出すことができます。しかし、LDKしかない間取りでは、家族のプライベート空間がお客様の目に直接触れることになります。「洗濯物が干しっぱなしだった」「子どものおもちゃが散乱していて恥ずかしかった」など、生活感を隠せない気まずさから、人を家に招くこと自体が億劫になってしまうケースも少なくありません。
- ゲストルーム不在による「お互いの気遣い疲れ」:両親や親戚が泊まりに来る際、予備のゲストルームがないと、リビングに布団を敷いて寝てもらうことになります。これがお互いにとって大きなストレスとなります。「夜中にトイレに行くにも気を遣う」「朝、家族が起きてくる物音で目が覚めてしまい、ゆっくり休めなかったと言われた」「ソファベッドを用意したが、やはり布団の方が良いと言われ、フローリングに直接敷くことになり心苦しかった」など、良かれと思ってしたことが、かえって相手に気疲れさせてしまう結果になりかねません。
将来の老後生活・介護に備える部屋の不在
新築時には想像しにくいかもしれませんが、人生100年時代において「老後」や「介護」は誰にでも起こりうる現実です。
その時、1階に和室がないことが大きな障壁となる可能性があります。
- 「階段」の不便さ:年齢を重ねると、膝や腰への負担から階段の上り下りが困難になります。2階に寝室がある場合、「日中は1階で過ごし、寝る時だけ2階へ上がる生活が辛い」「体調が悪い日に一日中リビングのソファで横になっているしかない」という状況に陥りがちです。1階のリビング横に和室があれば、そこを寝室とすることで、生活のすべてをワンフロアで完結させることができ、QOL(生活の質)を維持できます。
- 介護の現実と和室の柔軟性:親の介護、あるいは自分たちが介護される側になった時、和室の有無は介護環境を大きく左右します。畳はベッドを置いても床が傷つきにくく、布団での寝起きを介助する際も、介助者が膝をつきやすいというメリットがあります。また、ポータブルトイレの設置や、将来的な間取り変更にも柔軟に対応できます。洋室しかない場合、リビングの一部をカーテンで仕切って介護スペースにするなど、プライバシーのない場当たり的な対応にならざるを得ず、「もっと将来を見据えて間取りを考えておけば」と強く後悔することになりかねません。
家事効率の低下
和室は、特定の目的を持たないがゆえに、日々の「名もなき家事」をスムーズにこなすための万能スペースとして機能します。
- 床でやる家事:洗濯物を畳む、アイロンをかける、子どもの学用品の名前つけをする、家計簿をつける。こうした「床に座って広げて行いたい作業」は意外と多いものです。ダイニングテーブルでは食事の準備で片付けなければならず、リビングのローテーブルでは狭すぎる。和室があれば、誰にも邪魔されずに広々と作業スペースを確保できます。「アイロン台を出しっぱなしにして、空き時間に少しずつ進められるのが便利だった」という声のように、家事の効率を格段に上げてくれるのです。
精神的なリラックス・癒し空間の不足
和室には機能性や合理性だけでは測れない、精神的な安らぎの要素が凝縮されています。
- 「ごろ寝」のリフレッシュ:ソファで横になるのとは全く違う、手足を思い切り伸ばして寝転がる「ごろ寝」。畳の適度な硬さと、い草の香りに包まれる感覚は、何にも代えがたいリラックス効果をもたらします。「仕事で疲れて帰ってきた後、スーツのまま畳にごろんと横になるのが至福の時」「子どもと一緒にお昼寝すると、不思議と疲れが取れる」など、和室は心と身体をリセットするための場所となり得ます。
- 科学的にも証明された「い草」の効能:畳の原料であるい草の香りには、森林浴と同じリラックス効果をもたらす「フィトンチッド」や、バニラの香り成分で鎮静作用のある「バニリン」などが含まれています。九州大学の研究で、い草の香りがリラックス状態を示す脳波「α波」を増加させることが科学的に裏付けられていることからも、その効果は明らかです。また、い草には空気中の二酸化窒素やホルムアルデヒドを吸着・浄化する作用もあり、空気を綺麗にする効果も期待できます。この自然由来の癒やし空間がないことに、物足りなさや後悔を感じる人は少なくありません。
予備の個室としての活用性
家族の形は、時と共に変化します。
その予測不能な変化に対応できる「余白」としての部屋がないことは、家の柔軟性を大きく損ないます。
- 予期せぬ「部屋足りない問題」:「子どもは2人と決めていたのに、3人目を授かった」「思春期になった子どもが、兄弟で同じ部屋を嫌がるようになった」など、家族構成の変化は予測通りに進むとは限りません。そんな時、和室があれば即席の子ども部屋や勉強スペースとして活用できます。リモートワークが普及した現代では、急に在宅勤務用の書斎が必要になるケースも増えています。リフォームするとなると多額の費用がかかりますが、和室があればその「もしも」にすぐ対応できるのです。
- 家庭内パンデミックへの備え:家族の一人がインフルエンザや感染症にかかった場合、家庭内での感染拡大を防ぐためには隔離が必要です。LDKしかない家では、看病もままならず、家族全員が感染するリスクが高まります。「子どもが感染症にかかった時、完全に隔離できる部屋がなく、本当に困った」という経験は、多くの家庭が直面する問題です。独立した和室は、非常時の療養部屋となり得ます。
伝統的な要素の制限
合理性だけを追求するあまり、日本の伝統や文化、家族の歴史を祀る場所を失ってしまうことも、後悔の大きな要因です。
- 仏壇・神棚の置き場所に困る:親から仏壇を受け継ぐことになった時、モダンな洋室のリビングに置くのは違和感があり、かといって寝室に置くのも落ち着かない。結局、置き場所に困り、家の隅に追いやるような形になってしまい、「ご先祖様に申し訳ない気持ちでいっぱいになった」という声があります。和室は、こうした精神的な拠り所を、敬意をもって自然に配置できる唯一無二の空間です。
畳の吸音・防音効果の喪失
特に集合住宅や二世帯住宅、またLDKが2階にある家では、階下への音の問題が深刻なトラブルに発展することもあります。
- 子どもの足音トラブル:フローリングの上を子どもが走り回る「ドタドタ」という音は、想像以上に階下に響きます。「下の階の住人から苦情が来て、家の中でも子どもに『走らないで!』と叱ってばかりいる」「防音マットを敷き詰めたが、見た目も悪いしコストもかかった」など、音の問題が親子関係にまで影響を及ぼすことも。畳の内部に含まれる空気がクッションとなり、衝撃音を吸収してくれる畳の防音効果は、こうしたトラブルを未然に防ぐ上で非常に有効です。
- モノの落下音:おもちゃのブロックを床にぶちまける音、うっかりスプーンを落とした時の甲高い音。フローリングではこうした落下音が響きやすいですが、畳ならその多くを吸収してくれます。静かな環境を保ちやすいという点も、畳が持つ隠れたメリットなのです。
親の見守り動線の課題
「家事をしながら、子どもの様子を見る」という、子育て中の親にとって当たり前でありながら最も重要なタスクが、間取りによって困難になることがあります。
- 「ながら見守り」ができない:キッチンで火を使っている最中に、子どもがリビングの死角や別の部屋で遊んでいると、常に「今、何をしているだろう?」と不安がつきまといます。その度に作業を中断して様子を見に行くのは、非常に非効率でストレスが溜まります。LDKと一体的に使える和室があれば、キッチンカウンター越しに子どもの様子を常に視界の端に捉えながら、安心して家事に集中できます。この「ながら見守り」ができるかどうかが、日々の家事・育児の負担を大きく左右するのです。
- 空間のゾーニングの難しさ:LDKしかないと、子どもの遊びスペースと大人のくつろぎスペースが混在し、空間の切り替えが難しくなります。おもちゃがリビング全体に散らかり、常に片付けに追われることにもなりかねません。リビング横の和室を「キッズスペース」と明確にゾーニングすることで、「おもちゃはこの部屋だけ」というルールも作りやすく、リビングをすっきりと保つことにも繋がります。
「なんとなく」のゆとり空間の喪失
LDK、寝室、子ども部屋、書斎。現代の家は、すべての部屋に明確な「目的」が与えられています。
しかし、和室は「何に使ってもいい」という、ある種の曖昧さ、つまり「ゆとり」を内包した空間です。
目的がないからこそ、家族の成長や変化に合わせて、その姿を自由に変えていくことができます。
この「余白」があることで、暮らしに豊かさと遊びが生まれるのです。
「和室をつくって後悔」する理由とデメリット

「やっぱり日本人なら和室でしょ」と憧れを抱いて設けたものの、いざ暮らし始めると「こんなはずじゃなかった…」と後悔の念に苛まれるケースは、実は少なくありません。
ここでは、逆に和室をつくって後悔した具体的な理由を掘り下げてみます。
メンテナンスと衛生管理の手間とコスト
和室をつくって後悔する最大の理由、それはフローリング中心の生活に慣れた現代人にとって、畳のメンテナンスが想像以上に大きな負担となる点です。
- 日々の掃除:フローリングであれば、掃除機をかけた後にワイパーでサッと拭けば完了です。しかし、畳はそうはいきません。掃除機は畳の目に沿ってゆっくりかけないと、い草を傷つけたり、奥のホコリを吸い取りきれなかったりします。ロボット掃除機も畳の上では走行性能が落ちることがあり、結局は手作業での掃除が必要になることも。さらに、髪の毛やペットの毛は畳の目に絡みつきやすく、粘着カーペットクリーナー(コロコロ)は畳を傷めるため推奨されません。飲み物をこぼせば、すぐに乾いた布で叩くように吸い取らなければならず、放置すればあっという間にシミになってしまいます。この日常的に発生する「一手間」の積み重ねが、「和室は手がかかる面倒な部屋」というネガティブな印象を植え付けてしまうのです。
- カビ・ダニ:畳の原料であるい草は、湿気を吸ったり吐いたりする優れた調湿機能を持っています。しかし、それは裏を返せば、湿気を溜め込みやすいということ。特に、現代の住宅は高気密・高断熱化が進んでいるため、意識的に換気を行わないと湿気がこもりやすく、カビやダニにとって絶好の繁殖環境となってしまいます。ネット上の口コミでは、「新築して最初の梅雨で、畳の裏側が真っ青になるほどカビだらけになった」という悲痛な声も見られます。これは、新しいい草ほど水分含有量が多く湿気を吸収しやすいために起こる現象です。また、客間として布団を敷いた後、面倒だからと敷きっぱなしにする「万年床」は、畳との接地面に湿気がこもり、カビ・ダニを培養しているようなもの。衛生的な環境を維持するためには、こまめな換気や布団の上げ下ろしが不可欠であり、その労力を怠ると深刻なアレルギーの原因にもなりかねません。
- 高額な維持コスト:畳は消耗品であり、フローリングのように数十年単位で張替えが不要な床材とは根本的に異なります。美しさと機能性を保つためには、定期的なメンテナンスが必須です。
スペースと間取りへの影響
限られた敷地の中で、和室にスペースを割いたことが、かえって家全体の快適性を損なう結果につながることがあります。
- LDKを圧迫する「中途半端な和室」:「LDKは広くしたい、でも和室も欲しい」という要望を両立させようと、リビング横に4.5畳ほどの和室を設ける間取りは人気です。しかし、これが裏目に出ることがあります。結果として、リビングはソファとダイニングテーブルを置くと窮屈になり、和室は客間としては手狭で、子どもの遊び場としても中途半端な広さになってしまうのです。LDKの開放感も、和室としての独立性も損なわれる「帯に短し襷に長し」な空間が生まれ、「これなら和室なしで、20畳以上の広々としたLDKにすればよかった」という後悔につながります。
- 孤立した和室:玄関の近くなど、LDKから離れた場所に「独立型」の和室を設けると、その部屋は家族の日常動線から外れてしまいます。その結果、普段は誰も立ち入らず、冷暖房も効いていない「開かずの間」と化し、年に数回あるかないかの来客のために場所を取るだけの贅沢な物置になってしまうのです。「坪単価80万円の土地に、使わない物置をつくってしまったようなものだ」と、そのコストパフォーマンスの悪さに気づき、愕然とする人もいます。
家具配置と内装の制約
畳のデリケートな性質と独特の雰囲気が、家具選びや部屋の使い方に厳しい制約を課し、後悔の原因となります。
- 重い家具はNG:畳は内部のワラや建材ボード(畳床)がクッションの役割を果たしているため、ベッドやピアノ、ぎっしりと本の詰まった本棚など、一点に荷重がかかる重い家具を置くと、その部分が深く凹んで元に戻らなくなります。「将来は子ども部屋に」と考えていても、勉強机やベッドを置くことを躊躇してしまい、結局フローリングの部屋を子どもに与えることになるケースは少なくありません。キャスター付きの学習椅子なども畳を著しく傷めるため、子ども部屋としての活用には多くの制約が伴うのです。
- インテリアの調和を乱す「和」の存在感:家全体をモダンでスタイリッシュな洋風インテリアで統一したいと考えている場合、伝統的な「和」の要素が強い和室は、空間全体の調和を乱す原因になりがちです。LDKと隣接させた場合、襖を開けると突然現れる純和風の空間に違和感を覚えたり、和室に合うカーテンや照明選びに悩んだりすることも。もちろん、琉球畳やモダンな壁紙を使って洋風リビングと調和させることは可能ですが、それには高度な設計センスと追加コストが必要です。安易に「普通の和室」をつくってしまうと、「この部屋だけ雰囲気が違う…」と後悔することになります。
建具・壁の耐久性とメンテナンス
和室を構成する障子や襖、土壁といった伝統的な建材は、現代の建材に比べてデリケートで、その維持管理に頭を悩ませる家庭が後を絶ちません。
- 障子・襖の「破れ」が引き起こす無限ループ:小さな子どもや室内飼いのペットがいる家庭にとって、障子や襖は非常にか弱い存在です。指で突いたり、おもちゃをぶつけたり、爪で引っ掻いたりして、あっという間に破られてしまいます。ネット上の口コミはあくまで個人の意見であり、悪い評判が目立ちやすい傾向はありますが、「子どもが破る→叱る→また破られる→張り替えるのが面倒でボロボロのまま放置」という負のループに陥り、精神的に疲弊してしまうという声は、私見の一つとして見過ごせません。
- 壁や畳の日焼け:砂壁や土壁は、年月と共に表面がポロポロと剥がれ落ち、掃除の手間を増やす原因になります。また、最も避けがたいのが、日光による畳の日焼けです。日当たりの良い南向きに和室を設けると、紫外線によってい草の葉緑素が分解され、美しい若草色があっという間に色褪せた茶色に変色してしまいます。家具を置いていた部分だけが元の色のまま残り、まだら模様になってしまうと、一気に古びてみすぼらしい印象を与えてしまい、「こんなはずでは…」と美観の劣化に落胆することになります。
高齢者や子どもにとっての物理的なリスク・不便さ
「和室は誰にでも優しい空間」というイメージは、時として現実と異なります。
特定の条件下では、かえって危険や不便さをもたらすことがあるのです。
- 高齢者の身体を蝕む「立ち座り」の負担:足腰の筋力が低下した高齢者にとって、床に座った状態から立ち上がる動作は、膝や腰に大きな負担をかけます。「よっこいしょ」と手をつく場所を探し、一苦労して立ち上がる。この動作を繰り返すうち、次第に和室に入ること自体が億劫になってしまうのです。結果、高齢の親のためにと用意した和室が全く使われず、ベッドのある洋室で過ごす時間の方が長くなる、という本末転倒な事態も起こり得ます。
- 「小上がり」に潜む転倒・転落の危険:デザイン性が高く、収納も確保できる人気の「小上がり和室」ですが、その段差は家庭内に潜む危険なトラップとなり得ます。特に、夜中に寝ぼけてトイレに行く際や、お盆などで両手が塞がっている時に足を踏み外し、転倒して大怪我につながるリスクは軽視できません。また、走り回る小さな子どもが勢い余って段差から転落する事故も考えられます。家族の安全を第一に考えた時、この「常にある段差」が、後悔の種になる可能性を十分に理解しておく必要があります。
「和室あり」で後悔しないための設計のコツ

「和室をつくったはいいものの、結局使わない物置部屋になってしまった…」と後悔しないために、設計における5つの成功方法を解説します。
設置タイプと動線の決定
和室の使い勝手は、その配置場所とLDKとの「つながり方」で9割決まると言っても過言ではありません。
家族の生活動線上に自然に存在する、ストレスのない配置計画が成功の鍵です。
LDK隣接型の配置パターンを極める
日常使いを重視するなら、LDKに隣接させるのが最適解ですが、その配置にもバリエーションがあります。
- リビング拡大型: リビングの延長線上に配置する最も一般的なパターン。引き戸を開け放てば、LDKと一体化した大空間となり、子どもの遊び場や家族の団らんスペースとして最適です。
- ダイニング横型: ダイニングに隣接させると、食後にそのまま畳でくつろいだり、子どもが食事中に飽きても親の目の届く範囲で遊ばせたりできます。家事動線もスムーズです。
- リビング奥型: リビングを通り抜けた奥に配置するパターン。LDKとの一体感を保ちつつ、少し奥まっているため「こもり感」が生まれ、テレワークや読書など、集中したい作業にも向いています。
「扉」の選択
LDKと和室をどう仕切るかは、空間の印象と使い勝手を大きく左右します。
- 引き戸(推奨): 開けた時に扉が壁に収納される「引き込み戸」や、2~3枚の戸を連動させて壁際に寄せられるタイプを選べば、開口部を最大限に広くとれ、一体感を損ないません。空間を完全に仕切れるため、来客時のプライバシー確保も万全です。
- ロールスクリーンやプリーツスクリーン: 圧迫感がなく、コストを抑えられるのが魅力。ただし、防音性や断熱性は低いため、寝室としての利用には不向きです。あくまで簡易的な仕切りと割り切りましょう。
- あえて「仕切りなし」: 3畳程度の小さなタタミコーナーであれば、あえて仕切らずオープンにするのも一つの手。常にLDKの一部として機能し、空間に奥行きと変化をもたらします。
「独立型」を成功させる明確な目的
独立型の和室が「開かずの間」になるのを防ぐには、「この部屋でなければならない」という強い目的意識が必要です。
「本格的な茶道や華道を楽しむ趣味の部屋」「防音性を高めた完全なリモートワーク書斎」「両親が気兼ねなく滞在できる本格的なゲストルーム」など、使用目的と頻度が明確な場合にのみ、その真価を発揮します。
後悔しない広さの決め方
「広すぎて持て余す」「狭すぎて使い物にならない」という後悔を避けるため、用途から逆算して最適な広さを導き出しましょう。
| 用途 | 広さの目安 | 具体的な活用シミュレーションと注意点 |
| 客間/宿泊用(布団3枚) | 6畳 | 布団3枚(約100cm×200cm×3枚)を敷くと、部屋のほぼ全面が埋まります。人が歩くスペースはほとんど残らないことを理解しておく必要があります。座卓(幅120cm程度)を中央に置けば、大人4~5人がゆったり座れますが、宿泊時は片付ける必要があります。 |
| 客間/老後の寝室 | 4.5畳~5畳 | 布団1組に加え、サイドテーブルや衣類を置くスペースが確保できます。介護用ベッド(幅約90~100cm)を置いても、車椅子(幅約60cm)が通れる介助スペース(75cm以上推奨)を確保しやすいのがこの広さです。将来を見据えるなら、4.5畳がミニマムかつ最適なサイズと言えます。 |
| 日常的な多目的利用 | 2畳~3畳 | 3畳あれば、大人2人が洗濯物を十分に広げて畳めます。アイロン台を置いても邪魔になりません。子ども1~2人のお昼寝や、ローテーブルを置いて大人が一人でPC作業をするのにも十分な広さです。LDKを圧迫せず、最も効率的に「畳のメリット」を享受できるサイズです。 |
| セカンドリビング | 4.5畳以上 | 座卓やこたつを常設し、家族が第二のリビングとして日常的にくつろぐなら4.5畳以上は欲しいところ。テレビを壁掛けにすれば、より快適な空間になります。 |
床の高さの選択
床の高さは、空間の印象、機能性、安全性を決定づける重要な要素です。
それぞれの特性を深く理解し、家族に合った選択をしましょう。
「小上がり」を最大限に活かす設計術
- 最適な段差の高さ: 一般的に腰掛けやすい高さは30~40cmです。ソファ代わりとして使いたいならこの高さを目安に。収納量を優先するなら40cm以上も可能ですが、上り下りが大変になります。小さな子どもの安全を考慮するなら、あえて20cm程度の低い段差にする選択肢もあります。
- 収納タイプの選択: 日常的に使うものを収納するなら、開け閉めが楽な「引き出し収納」が便利です。使用頻度の低い季節物(ラグや扇風機など)を収納するなら、大容量を確保できる「蓋式(畳天板を開ける)収納」が向いています。両方を組み合わせることも可能です。
- 安全対策の徹底: 段差の角は丸く面取り加工を施し、衝撃を和らげましょう。夜間のつまずき防止に、段差の下に間接照明(足元灯)を仕込むのは非常に有効です。
デザインテクニック
- 境界線を消す工夫: LDKのフローリングと畳を仕切る「見切り材」は、できるだけ細く、床材の色に近いものを選ぶと境界線が目立たず、一体感が高まります。
- 視覚的な連続性: フローリングと畳の色調を合わせる(例:オーク材のフローリングにベージュ系の和紙畳)、天井の仕上げをLDKと和室で統一する、といった工夫で、視覚的に空間が広く連続して見えます。
- 緩やかに空間を仕切る: 完全にオープンだと落ち着かない場合は、天井からロールスクリーンや格子状のパーテーションを吊るすことで、視線を緩やかに遮りつつ、圧迫感なく空間をゾーニングできます。
デザインと素材選びでモダンな統一感を出す
「和室だけが浮いてしまう」という後悔は、デザインと素材選びで100%回避できます。
家全体のインテリアと調和する「モダン和室」をつくりましょう。
「最新畳」の選択
メンテナンス性やデザイン性を考慮するなら、天然い草以外の選択肢も積極的に検討すべきです。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 天然い草 | 伝統的な素材 | ・香りのリラックス効果 ・調湿性、吸音性 | ・カビ、ダニのリスク ・日焼けによる変色 ・耐久性が低い |
| 和紙畳 | 和紙をこより状にし、樹脂コーティング | ・カラー豊富 ・撥水性が高く、手入れが楽 ・耐久性が高い(い草の約3倍) | ・い草の香りはない ・価格がやや高め |
| 樹脂畳 | ポリプロピレン等が主原料 | ・水や汚れに非常に強い ・カビ、ダニが発生しない ・カラー、デザインが最も豊富 | ・質感がやや硬い ・熱に弱い場合がある |
特に子育て世帯やペットのいる家庭では、撥水性と耐久性に優れた和紙畳や樹脂畳が推奨されます。
また、畳の縁(へり)がない正方形の琉球畳(風)を、向きを互い違いに敷く「市松敷き」にすると、光の反射で陰影が生まれ、一気にモダンな雰囲気になります。
収納計画と設備計画
見た目のデザインだけでなく、実際に暮らした時の「使いやすさ」を左右するのが、収納とコンセントなどの設備計画です。
「押入れ」を現代の暮らしにアップデート
伝統的な「枕棚+中段」の押入れは、布団の収納には最適ですが、それ以外のものをしまうには使いにくいことも。
中段をなくしてハンガーパイプを通し「和室クローゼット」にしたり、棚板の高さを自由に変えられる「可動棚」を設置したりすることで、収納の自由度が格段に上がります。
節句人形の大きな箱、来客用の座布団、子どものおもちゃ、季節家電など、「何を」「どこに」しまうかを事前にリストアップし、それに合わせた内部設計をしましょう。
「床の間」と「仏間」の新しいカタチ
本格的な床の間は不要でも、季節の飾りやアートを飾るスペースは欲しいもの。
壁を少しへこませて飾り棚にする「ニッチ」や、押入れの下部を空けて床から浮かせる「吊り押入れ」にし、その下の空間に間接照明を仕込んでモダンな飾りスペースにするのが人気です。
仏壇は、扉付きのクローゼットのような「仏間」を造作し、普段は扉を閉めておけるようにすると、生活空間と自然に共存させることができます。
後悔しないコンセント・照明計画
コンセントは、後から増やすのが難しい設備です。
アイロンがけ、PC作業、スマートフォンの充電、将来の介護ベッドや空気清浄機の使用など、あらゆるシーンを想定して、適切な位置と数(最低でも2ヶ所4口以上)を計画しましょう。
照明は、部屋全体を均一に照らすシーリングライトだけでなく、壁や天井を照らす間接照明や、手元を照らすダウンライトを組み合わせることで、時間帯や用途に合わせて光の雰囲気を変えられる、上質で落ち着きのある空間を演出できます。
和室を設けない場合の代替案と後悔を防ぐ工夫

「我が家のライフスタイルには、やはり固定の和室は不要」という結論に至ったとしても、それが畳の持つ心地よさや多機能性を完全に諦めることを意味するわけではありません。
むしろ、和室という「部屋」の制約から解放されることで、より自由で柔軟な発想で「和の要素」や「畳のメリット」を住まいに取り入れることが可能になります。
置き畳・ユニット畳の活用
固定の和室を持たない最大のメリットは、「必要な時に、必要な場所へ、必要な分だけ」畳空間を創出できる柔軟性にあります。
その主役となるのが「置き畳」です。
置き畳と一口に言っても、その種類は多種多様。目的とライフスタイルに合わせて最適なものを選びましょう。
素材で選ぶ
- 天然い草製: 香りや肌触りを重視するならこれ。リラックス効果は最も高いですが、カビやダニ、変色には注意が必要です。
- 和紙製・樹脂製: 子育て世帯やペットのいる家庭に最適。撥水性が高く、汚れに強いため、ジュースをこぼしてもサッと拭き取れます。カラーバリエーションが豊富で、インテリアに合わせて選べるのも魅力です。
厚みで選ぶ
- 薄型タイプ(厚さ約12mm~15mm): ラグやカーペットのような感覚で手軽に使えます。段差がほとんどないため、つまずきにくく、ロボット掃除機もスムーズに乗り越えられます。リビングの一角に敷いてごろ寝スペースにするのに最適です。
- 厚型タイプ(厚さ約30mm~55mm): クッション性が高く、より本格的な畳に近い感触が得られます。防音性や断熱性にも優れているため、階下への音を気にせず子どもを遊ばせたい場合に有効です。
サイズで選ぶ
一般的な半畳サイズ(約82cm角)のほか、1畳サイズやコンパクトなサイズもあります。
部屋の広さや使いたいスペースに合わせて組み合わせを考えましょう。
置き畳の戦略的な活用シーン
- 子育て期の「移動式キッズスペース」:日中はリビングに敷いて安全な遊び場に。夜は寝室に移動させて、川の字で寝るための簡易的な畳ベッドに。子どもの成長に合わせて、その役割と場所を柔軟に変えることができます。使わなくなれば、簡単に撤去して収納できるのも大きな利点です。
- 来客時の「即席おもてなし空間」:普段はクローゼットに収納しておき、両親や友人が泊まりに来た時だけ、空いている洋室に敷き詰めてゲストルームに。フローリングに直接布団を敷くよりも格段に快適性が上がり、おもてなしの心が伝わります。
- 季節を楽しむ「シーズナル和コーナー」:夏は涼しげない草の置き畳を敷いて、風鈴を飾り、夕涼みのスペースに。冬はこたつに合わせて置き畳を配置し、家族団らんの中心に。季節ごとにインテリアを変えるように、和の空間を楽しむことができます。
広くなった洋室を多目的に活用する
和室をなくすという決断は、単なるスペースの削減ではありません。
LDKの多機能性を生み出す
和室が担っていた「子どもの遊び場」「ごろ寝スペース」「家事スペース」といった役割を、広くなったLDKの中で再現します。
- 「キッズコーナー」の設置: リビングの一角に、クッション性の高いコルクマットやプレイマットを敷き、おもちゃ収納を集中配置することで、安全で管理しやすいキッズコーナーをつくります。リビング学習を想定し、スタディカウンターを造作するのも有効です。
- 「リラックスコーナー」の創出: 大きめのラグを敷き、床に近い高さのローソファやビーズクッションを置くことで、「ごろ寝」ができるリラックス空間を演出します。壁際にデイベッド(ソファ兼ベッド)を置けば、お昼寝や急な来客時の寝床としても活躍します。
- 「フレキシブルスペース」の確保: あえて家具を置かない「余白」のスペースを確保しておくことも重要です。ヨガやストレッチをしたり、アイロンがけをしたり、室内用の物干しを広げたりと、その時々のニーズに対応できる多目的なスペースになります。
洋室に「和のテイスト」を融合させる
「部屋」としての和室はなくても、「和」が持つ温かみや落ち着きを住まいに取り入れることは可能です。
- 素材で「和」を感じさせる: 床材に無垢材や竹フローリングを採用したり、壁に珪藻土や漆喰、和紙クロスを使ったりすることで、自然素材の温もりと質感が空間に落ち着きをもたらします。
- 建具や窓で「和」を演出する: 障子の代わりに、和紙調のガラスを使った室内ドアや、木製の格子戸を取り入れると、モダンな空間のアクセントになります。窓には、プリーツスクリーンや木製ブラインド、障子風のインナーサッシ(内窓)を採用すると、光を柔らかく取り込み、和の雰囲気を演出できます。
- 家具や照明で「和」を添える: 直線的でシンプルなデザインの木製家具、和紙を使ったペンダントライトやフロアスタンド、盆栽や季節の枝ものを飾るなど、インテリアで和の要素をプラスすることで、洗練された「ジャパンディ(Japan+Scandinavian)」スタイルなどを楽しむことができます。
まとめ
この記事では、和室を「設けない後悔」と「設けた後悔」の両面から解説してきました。
結論として、新築における和室の「正解」は、一つだけではありません。
最も重要なのは、流行や他人の意見に流されることなく、自分たちの家族が「何を大切にし、どんな未来を築きたいのか」という価値観に向き合うことです。
ぜひこの記事も参考にしながら、和室が必要なのか否か、考えてみてくださいね。



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